「卓上IHクッキングヒーターって、電気代はどのくらいかかるんだろう」——買う前にいちばん気になるのがここだと思います。結論から言うと、卓上IHの電気代は1時間あたり10〜43円のレンジで、家計に効いてくるほどの金額にはなりにくいというのが正直なところです。

ただし、「1400W=1時間43円」という上限の数字だけが独り歩きすると、実態と離れます。この記事では火力別の早見表と、湯沸かし・鍋・揚げ物という使い方別の目安、そしてガスコンロとどっちが安いのかを、電卓で計算しながら正直にまとめます。電気代より先に気にしたほうがいい「ブレーカー」の話も最後に置きました。

先に結論:1400Wフル火力で1時間 約43円、実際はもっと下がる

まず全体像です。卓上IHの電気代は、使っている火力(W)と時間だけで決まります。

  • 最大1400Wをフル火力で1時間使うと、電気代の上限は約43.4円(1kWh=31円換算)
  • 1000Wタイプなら1時間 約31.0円
  • ただし実際は沸いたあとに火力を落とす・揚げ物モードは油温を保つために自動でオン・オフを繰り返すため、平均の消費電力は上限よりかなり下がる

つまり「1400Wだから1時間ずっと43円」ではありません。私はデータの職業病で、家電を買うと消費電力計を挟んで実際の消費電力量を眺めてしまうのですが、卓上IHのように「立ち上げだけ強火、あとは弱火」で使う機器は、平均するとカタログの最大値の半分以下で動いていることがよくあります。

1400Wをフル火力で1時間使って約43円が上限の目安。実際は沸いたあとに火力を落とすため、平均の消費電力はこれより下がる(イメージ画像)
1400Wをフル火力で1時間使って約43円が上限の目安。実際は沸いたあとに火力を落とすため、平均の消費電力はこれより下がる(イメージ画像)

【火力別】卓上IHクッキングヒーターの電気代早見表

火力ごとに、その火力で使い続けた場合の電気代を計算しました(1kWh=31円で計算。実際の単価は契約プランで変わります)。

火力 10分 30分 1時間 使い方の目安
1400W 約7.2円 約21.7円 約43.4円 湯沸かし・炒めもの・揚げ物の立ち上げ
1000W 約5.2円 約15.5円 約31.0円 通常の加熱・煮込みの立ち上げ
700W 約3.6円 約10.9円 約21.7円 鍋を煮立たせる・炒めもの中盤
400W 約2.1円 約6.2円 約12.4円 弱火の煮込み
200W 約1.0円 約3.1円 約6.2円 とろ火・保温

多くの機種は6〜7段階で火力を切り替えられます。食卓で鍋をつつくときに使うのは、たいてい200〜700Wの弱火帯です。1時間かけて鍋を囲んでも、電気代は10円前後というのが実際のところ。

【使い方別】湯沸かし・鍋・揚げ物の電気代の目安

もう少し実感に近づけて、よくある使い方ごとに計算してみます。

使い方 消費電力量の目安 電気代の目安
水1Lを沸かす(20℃→100℃) 約0.10kWh 約3円
食卓で鍋を1時間(平均600W) 約0.6kWh 約19円
揚げ物30分(立ち上げ1400W+油温キープ) 約0.35kWh 約11円
一人分の炒めもの10分(平均900W) 約0.15kWh 約5円

水1Lの計算だけ補足すると、20℃の水1Lを100℃まで上げるのに必要な熱量は約0.093kWh。IHの熱効率を約90%として割り戻すと約0.10kWhで、31円/kWhなら約3円です。

1か月で見ると、一人暮らしがメインのコンロとして1日30分・平均800Wで使って約370円、食卓の鍋用に週2回・1時間ずつ(平均600W)なら約150円。冷蔵庫やエアコンのように月単位で家計を左右する家電ではない、という結論は変わりません。

IHコンロとガスコンロ、どっちが安い?

ここがいちばん誤解されやすいところなので、正直に書きます。

熱効率だけを見ればIHが有利です。 IHは鍋そのものを発熱させるので、一般にIHの熱効率は約90%、ガスコンロは炎の熱が鍋の周囲へ逃げるぶん約40〜55%とされています。同じ料理をしたときに捨てているエネルギーが少ないのはIHです。

でも、光熱費の総額は単価しだいです。 先ほどの水1Lで比べると、電気は約3円、都市ガスも条件によりますが約2〜3円で、はっきり差がつくとは言えません。プロパンガス(LPガス)の地域ならガス側が高くつくことが多く、逆に電気の従量単価が高い契約なら電気が不利になります。

なので「卓上IHにすれば光熱費が下がる」という買い方は、私はおすすめしません。卓上IHの価値は光熱費の削減ではなく、

  • 工事なしでコンロが一口増える(ガスの契約がない部屋でも調理できる)
  • 火を使わないので空気を汚さず、切り忘れ自動オフや鍋なし検知が働く
  • 食卓の上で調理して、そのまま食べられる

という使い勝手のほうにあります。ここを取り違えなければ、買ってからの満足度は高い家電です。

電気代より先に確認したい「ブレーカー」の話

実用上、電気代より先に効いてくるのがこちらです。1400Wは電流にすると約14A。家庭用コンセントの1回路は15A(=1500Wまで)が一般的なので、卓上IHの1400W機はほぼ回路の上限を1台で使い切ります。

  • 同じ回路で電子レンジ(1000W前後)や電気ケトル(1200W前後)を同時に使うとブレーカーが落ちることがある
  • 延長コード・テーブルタップ経由はNG(コードの許容電流を超えると発熱の原因になる)。壁のコンセントに直接つなぐ
  • 心配なら、消費電力を抑える1000Wセーブモードを備えた機種を選ぶか、はじめから1000Wタイプにする

キッチンのコンセントは電子レンジと同じ回路になっていることが少なくありません。買ってから「レンジを回すと落ちる」と気づくパターンが多いので、置き場所を決めるときに一緒に確認しておくと安心です。

2口の据置タイプを検討している人はもう一点。家庭用100Vの2口機は左右合計で最大1400Wまでという製品が多く、左右同時に強火は使えません。電気代というより、そもそも「2口フルパワー」が成立しない点を先に知っておくと、期待値がずれません。

電気代を下げる5つのコツ

数字で効く順に並べます。どれも今日からできることです。

  1. 鍋底のサイズを加熱面に合わせる——小さすぎる鍋は熱が伝わりにくく、機種の対応サイズ(多くは直径12〜24cm)を外れるとそもそも加熱できません
  2. 必ずフタをする——沸くまでの時間が短くなり、そのぶん消費電力量が減ります。いちばん手軽で効果が出るのがこれ
  3. 沸いたら火力を落とす・最後は余熱を使う——早見表のとおり、1400Wと400Wでは1時間あたり30円以上違います
  4. 揚げ物は油量を必要最小限に——油の量が多いほど、設定温度まで上げるのにも保つのにも電力を使います
  5. 湯沸かしだけなら専用機に任せる——1Lを沸かすだけならIHでも電気ケトルでもコストはほぼ同じですが、ケトルのほうが速くて放置できます
フタをする・鍋底のサイズを合わせる・沸いたら火力を落とす。卓上IHの電気代はこの3つでほぼ決まる(イメージ画像)
フタをする・鍋底のサイズを合わせる・沸いたら火力を落とす。卓上IHの電気代はこの3つでほぼ決まる(イメージ画像)

電気代で機種を選び分けるなら

最後に、電気代の観点から見た機種選びを整理しておきます。

  • 食卓の鍋・温め直しが中心なら1000Wタイプで十分。そもそも弱火帯しか使わないので、上限の火力は電気代にほとんど影響しません
  • メインのコンロとして毎日使うなら1400Wタイプ。立ち上げが速いぶん、同じ料理でも「強火で使う時間」が短くて済みます
  • ブレーカーが不安な家は1000Wセーブモード付きを選ぶと、電気代というより運用のストレスが減ります

なお、消費電力の最大値は各機種のスペック表に必ず載っています。ランキングでは実売価格を毎日計測しているので、火力と価格を見比べながら選んでみてください。

いま値下がりしている機種はこちらです。

いま価格をチェックしたいモデル

※価格は2026年8月4日時点の当サイト計測値。カードを押すと卓上IHクッキングヒーターランキングの該当モデルへ移動します。

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 低=底値(SALE 3/6/9/12・BF11)中=通常(新生活1〜3月・鍋需要の10〜12月は高めのことも) 家電の買い時ナビ調べ(毎日価格計測)
卓上IHクッキングヒーターの買い時カレンダー。定番モデルが長く売られ、値動きの主因はセール・クーポン・店舗差。底値になりやすいのは楽天スーパーSALE(3・6・9・12月)・お買い物マラソン・ブラックフライデー(11月)と、型番リニューアル時の旧型在庫処分。一人暮らしの準備が集中する新生活シーズン(1〜3月)と鍋の季節(10〜12月)は需要が高まり在庫が薄くなりがち。当サイトは価格を毎日計測。